犬の首輪屋てるべるの工房で、照井が犬具を製作する様子

はじまりは、ベルト職人でした。

私のものづくりの原点は、犬用品ではなく「ベルト」です。

若い頃、ベルト職人としてものづくりの世界に入りました。

DCブランド全盛期には、作っても作っても間に合わないほど仕事があり、毎日のようにものづくりに向き合っていました。

その後、私の名前である「てるい」と、ベルト職人の「ベルト」から「てるべる」という名前を付けて独立。

独立してからも数年間は仕事に困ることはなく、深夜まで働く日々が続きました。

ところが、バブルが崩壊すると状況は一変します。

仕事は大きく減り、一度ものづくりの世界を離れて、サラリーマンとして働いた時期もありました。

そんな私が、首輪づくりの道へ進むきっかけになったのは、愛犬の柴犬チコでした。

「チコの首輪を作ってくれ」

てるべるの首輪づくりのきっかけとなった愛犬チコと、当時の首輪や製作風景

ある日、父から家で飼っていた柴犬チコの首輪を作ってほしいと頼まれました。

ベルトを作る技術があれば、犬の首輪を作ることは難しくありません。

ただ、当時売られていた革の首輪は、くすんだ赤や緑、黒など、お洒落とは程遠い地味な色のものがほとんどでした。

きれいな色の革がたくさんあるのに、なぜ犬の首輪は地味な色ばかりなのだろう。

もっときれいな色の革を使って、かわいい首輪を作れないだろうか。

そう思って作り始めたのが、てるべるの犬具づくりの始まりです。

その後、ベルト職人の仕事を続けながら、作った首輪をインターネットで販売するようになりました。

最初は本当に小さなスタートでした。

でも、ネット販売を始めたことで、それまでのものづくりとは大きく違う経験をすることになります。

ベルト職人だった頃は、百貨店で販売される商品を作っていても、職人として指示された仕様どおりに仕上げるのが仕事でした。

そのベルトを実際に使ったお客様がどう感じたのか、使いやすかったのか、不便なところはなかったのか。

そうした声が、私のところまで届くことはほとんどありませんでした。

ところが、自分で作った首輪を直接販売するようになると、それまでとはまったく違いました。

お客様の声と、ものづくりがつながった。

「もう少しこうだったら使いやすい」

「こんなものは作れませんか?」

「ここが少し気になります」

お客様から、そうした声が直接届くようになったのです。

そして、その声を聞くたびに、

だったら、こう作ってみよう。

そう考え、実際に形にしていくようになりました。

職人として培ってきた技術と、お客様の声。

この二つがつながったことで、てるべるの商品づくりは大きく変わっていきました。

今では、お客様の声から生まれた商品がたくさんあります。

首輪に沿って取り付けられる、ブラブラしない迷子札もそのひとつです。

楽天ランキング1位多数、てるべるのオリジナル迷子札と犬用首輪

お客様の何気ないひと言から商品が生まれ、実際に使っていただいた声をもとに、さらに改良していく。

それが、てるべるのものづくりの大きな特徴になりました。

良いものを作れば、悔しいこともありました。

時間をかけて考え、何度も試作した商品をお客様に喜んでいただける。

ものづくりをしていて、これほどうれしいことはありません。

一方で、商品が多くのお客様に支持されるようになると、よく似たデザインや商品を目にすることも増えてきました。

正直、悔しいと思ったことも何度もあります。

でも、長くものづくりを続けるうちに、ひとつ気づいたことがあります。

形は似せることができても、長い時間をかけて積み重ねてきた「見えない部分」と「経験」までは、簡単には真似できない。

小さな違いが、大きな違いになる。

てるべるの革製犬用首輪と、縫製に使うミシンや色とりどりの素材

犬具を使うワンちゃんは、一頭一頭違います。

小型犬から大型犬まで、体格も性格もさまざまです。

首の細い子、太い子。おとなしく歩く子もいれば、強く引っ張る子もいます。a

だからこそ、ほんの少しの違いが使いやすさを大きく左右します。

金具を取り付ける位置。

テープや革の厚さ、しなやかさ。

縫う位置や、長さ、幅。

犬の身体への当たり方。

力が掛かったときの負担のかかり方。

見ただけではほとんど分からない違いでも、実際に使ってみると大きな差になることがあります。

そして、そうした違いは、一度作っただけではなかなか分かりません。

作って、使って、直して、また試す。

お客様の声を聞き、もう一度考える。

それを何度も繰り返し、商品を少しずつ改善してきました。

数ミリの違い。
金具ひとつの位置。
素材の厚さや、わずかな長さの違い。

とても小さな違いかもしれません。

でも、その積み重ねが、使いやすさや丈夫さ、そして安心感の大きな違いになると私たちは考えています。

見えないところまで、きちんと作る。

若い頃から磨いてきた職人としての技術。

百貨店向けの商品づくりで培った品質へのこだわり。

お客様からいただいた声。

そして、何度も繰り返してきた試作と改善。

そうした目には見えないものも、てるべるの商品には詰まっています。

これからも、

「もっと使いやすくできないか」
「もっと安心して使っていただけないか」
「もっと愛犬との暮らしを楽しくできないか」

を考え続けていきます。

私たちが目指しているのは、単に首輪やリードを作ることではありません。

「ペットとの暮らしを、ものづくりを通じてより素敵に。」

それが、てるべるの企業理念であり、これからも変わることのない、ものづくりへの想いです。