犬の首輪とハーネスの選び方、メリットとデメリット

「首輪とハーネス、どっちがいいの?」

初めてワンちゃんを迎えた方なら、一度は迷うのではないでしょうか。

以前は首輪が一般的でしたが、最近では首への負担を考えてハーネスを選ぶ飼い主さんも増えています。

犬の首輪屋てるべるでは、首輪もハーネスも製造・販売していますが、「どちらが絶対にいい」とは考えていません。

今回は、以前ドッグトレーナーさんに直接聞いた話と、長年犬具を作ってきた経験から、それぞれのメリット・デメリットを分かりやすくご紹介します。

ドッグトレーナーさんに「首輪とハーネス、どっちがいい?」と聞いてみました

以前、ドッグトレーナーの川原さんに、

「首輪とハーネスは、どちらがいいのでしょうか?」

と聞いたことがあります。

そのときの答えは、

「しつけという観点では、私は首輪をおすすめします」

というものでした。

首輪は、飼い主さんの合図を犬に伝えやすく、お散歩中のコントロールもしやすいという考え方です。

一方でハーネスは、犬の体に力を分散しやすい構造です。

犬ぞりを思い浮かべると分かりやすいですが、引っ張っても首だけに負担が集中しにくい反面、犬にとっては「引っ張っても苦しくなりにくい」ともいえます。

犬ぞりを引く犬の例で見る、力が胴体に分散するハーネスの構造

そのため、犬によっては引っ張る行動が続きやすくなることがあります。

川原さんのお話では、まず首輪を使って飼い主さんの横を落ち着いて歩くことを教え、しつけができたらハーネスを使うのもよい、という考え方でした。

もちろん、しつけにはさまざまな方法がありますので、「必ず首輪でなければならない」という意味ではありません。

中型犬・大型犬は子犬のころから引っ張り対策を

子犬のころから引っ張らずに歩く練習をする際の首輪の使用例

特に中型犬・大型犬は、子犬のころから「引っ張らずに歩く」練習をしておくことが大切です。

子犬のうちは力が弱く、多少引っ張られても問題なく感じるかもしれません。

しかし成犬になると力はかなり強くなります。

突然走り出したときに飼い主さんが引っ張られ、転倒してしまうこともあります。

将来の体の大きさを考え、子犬のうちからお散歩のルールを教えておきたいですね。

首輪のメリット

首輪の大きなメリットは、飼い主さんの合図を犬に伝えやすく、散歩中のコントロールがしやすいことです。

また、迷子札を付けやすいのも首輪の良いところです。

万が一、玄関から飛び出したり、災害などではぐれたりしたとき、名前や電話番号の入った迷子札は飼い主さんのもとへ帰るための大切な手掛かりになります。

ハーネスは散歩後に外すご家庭も多いため、日常的な身元表示という点では首輪が使いやすいでしょう。

首輪のデメリット・注意点

首輪は犬が強く引っ張ると、その力が首に集中します。

特に、散歩中ずっとリードを張って歩いている犬では、首への負担が大きくなります。

チワワなどの小型犬をはじめ、気管や首に不安のあるワンちゃんもいます。

首輪で歩いていると「ゲホゲホ」と咳き込む、苦しそうにするなどの様子がある場合は、無理に使い続けず、獣医師に相談したうえでハーネスを検討するとよいでしょう。

また、首輪を長時間つけっぱなしにすると、犬種や毛質によっては毛玉ができやすくなることがあります。

ハーネスのメリット

首だけでなく胴体にも力を分散する犬用ハーネスの特徴

ハーネスの大きなメリットは、リードを引いたときの力を首だけでなく胴体にも分散できることです。

首や気管への負担が心配なワンちゃんには大きなメリットになります。

お散歩に慣れていない子犬が突然走り出したときなどにも、首だけに強い力が掛かりにくいのがハーネスの良いところです。

ハーネスは「すっぽ抜け」に注意

犬具を作る立場として、特に知っておいていただきたいのがハーネスの「すっぽ抜け」です。

ハーネスにはさまざまな形があり、犬の体型と構造が合っていなかったり、サイズが大きすぎたりすると、後ずさりしたときに抜けてしまうことがあります。

特に、お散歩に慣れていない子は注意が必要です。

車の音やほかの犬に驚き、突然後ろへ下がった瞬間にハーネスが抜けてしまうケースがあります。

また、ハーネスは体への負担を分散できる反面、犬によっては引っ張る行動が続きやすくなることもあります。

ハーネスだから安心と考えるのではなく、引っ張らずに歩く練習も一緒に行うことが大切です。

成長期だからと「大きめのハーネス」を選ぶのは要注意

子犬のハーネス選びでよくあるのが、

「すぐ大きくなるから、大きめを買っておこう」

という考え方です。

気持ちはとてもよく分かりますが、安全面ではおすすめできません。

サイズが大きすぎると、後ずさりしたときに前足が抜けたり、ハーネス全体が脱げたりすることがあります。

ハーネスは「長く使えるか」より、「今の体にきちんと合っているか」が大切です。

成長期は、こまめにサイズを確認してあげてください。

保護犬や怖がりな子は首輪とハーネスの併用も

保護犬や非常に怖がりなワンちゃんは、突然の音などでパニックになり、予想もしない方向へ逃げようとすることがあります。

一度首輪やハーネスが抜けてしまうと、そのまま走り去ってしまう可能性もあります。

そのため保護犬の譲渡では、首輪とハーネスを両方装着し、それぞれにリードをつなぐ「ダブルリード」が推奨されたり、譲渡条件になったりすることがあります。

保護犬だけでなく、怖がりな子や後ずさりしやすい子にも有効な安全対策です。

結局、首輪とハーネスはどっちがいいの?

私自身、首輪もハーネスも長年作ってきましたが、

「すべての犬に首輪がいい」

とも、

「すべての犬にハーネスがいい」

とも思っていません。

これからお散歩を覚える子犬で、首や気管に問題がなければ、首輪を使って飼い主さんと一緒に歩く練習をするという考え方があります。

一方で、首や気管への負担が心配な子や、首輪をすると咳き込んでしまう子には、ハーネスが適している場合があります。

また、怖がりな子や脱走が心配な子なら、首輪とハーネスを併用する方法もあります。

大切なのは、「首輪かハーネスか」だけではありません。

愛犬に合ったサイズの犬具を、正しく使うこと。

これが何より大切です。

首輪とハーネス、それぞれの良さを理解して選んでほしい

「首輪はかわいそうだからハーネス」

「ハーネスは引っ張るから首輪」

と単純に決めるのではなく、それぞれの特徴を知ったうえで、その子に合ったものを選んであげてほしいと思います。

子犬のころは首輪でお散歩の練習をし、落ち着いて歩けるようになってからハーネスにする。

普段はハーネスで散歩をしながら、迷子札を付けるために首輪も装着する。

怖がりな子なので、首輪とハーネスの両方にリードをつける。

そんな使い分けがあってもいいと思います。

首輪もハーネスも、目的は同じです。

愛犬と安全に、楽しくお散歩すること。

その子の性格や体型、健康状態に合ったものを選んであげてください。

犬の首輪屋てるべる
店長 照井